みなさんこんにちは!
今日も医師の循環器疾患・不動産投資まとめサイトにお越しいただきありがとうございます。
今日は心電図の正常洞調律について解説していきたいと思います。
今日の内容を知ることで正常洞調律の定義を知る・看護の注意点が理解できるようになります。
では解説に移ります。
正常洞調律とは?
心臓は1日に約10万回収縮と拡張をしています。これを心調律といいます。
正常な人の心臓では、洞結節で発生した電気信号が心房、房室結節、心室へと規則正しく伝わります。
この洞結節の興奮リズムを心調律の中でも特に洞調律といいます。洞結節の興奮頻度は60~100回/分です。
洞調律であり、心電図でP波、QRS波、T波が規則正しくあらわれ、順序良く繰り返されている状態を正常洞調律といいます。
正常洞調律における心拍数は、成人では60~100回/分ですが、学童では80~110回/分、乳幼児では110~130回/分、新生児では130~145回/分と速くなります。
正常洞調律はどんな心電図?
心電図が正常洞調律であるためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
モニター心電図ではP波が陽性で、各心拍が同じ形を示している時、洞調律を考えます。
ただしモニター心電図では誘導がⅡ誘導またはV5誘導になっているか確認が必要です。
また12誘導心電図では誘導と、P、QRS、Tとそれぞれについて考える必要があります。
正常洞調律のP波は?
成人の正常洞調律は脈拍が60~100回/分となっていることが条件です。
また、Ⅰ、Ⅱ誘導でP波は陽性、PQ間隔は0.12~0.20秒です。
上記に加え、Ⅱ誘導で幅は3mm未満、高さは2.5mm未満をV1誘導では高さ2mm未満、P terminal force (Morris指数)の絶対値が0.04mm・秒未満となります。
P terminal force(Morirs指数)とは?
少し詳しくはなりますが、正常洞調律の定義に含まれるP terminal force(Morris指数)を簡単に説明します。
この内容に関しては専門医でなければ知らなくとも困ることはないでしょう。
幅(単位は秒)×深さ(単位はmm)≧0.04が異常とされ、左房拡大を示します。
難しいので専門医以外は知らなくとも問題ないレベルです。
正常洞調律のQRS波は?
QRS波は肢誘導と胸部誘導でチェックする部位がそれぞれ異なります。
肢誘導では①電気軸が正常(右軸・左軸偏位がない)②ⅢとaVL以外に異常Q波がない③QRS時間が2.5mm未満であることが条件です。
※右軸・左軸偏位については過去の内容も参考にしてください。(【心電図】右軸偏位、左軸偏位とは? | 医師の循環器疾患・不動産投資まとめサイト (iryoumatome.com))
胸部誘導では①R波が正常に増高 ②V1以外にQ波がない ③QRS電位が正常(SV1+RV5 or RV6<35mm、RV5 or RV6<26mm)であることが条件です。
正常洞調律のQRS波は上記の両方共を満たす必要があります。
正常洞調律のST-T波は?
T波はQRS波からの(特にSからの)流れを見る必要があるので、ST-T波に注目します。
STは基線またはPQ部位と比べ上昇・低下がないことが条件です。(早期再分極などを除く)
T波はaVRでは陰性、 Ⅰ・Ⅱ・V2~V6で陽性です。
高さは12mm未満かつR波の1/10以上であることが条件です。(Ⅲ・aVL・aVF・V1では,T波は陰性でもよい、さらに若年成人では正常でもV2・V3に陰性T波がみられうるなど例外は存在します)
正常洞調律のQT間隔は?U波は?
QT時間はQTc=QT/√RR=0.35~0.44が正常とされています。
T波の終わりがRR間隔の半分を超えている場合はQTが延長しています。
U波は陽性でT波の高さの5~50%範囲が正常です。
T波よりU波が高い場合、陰性のU波を認める場合は異常です。
まとめ
心電図でこれは正常だ(正常洞調律だ!)と言うにも、上記の通り多くのプロセスを確認する必要があります。
実際に大部分の医師でも、正常心電図の細かな値までは覚えていないのが現状です。
最近は心電図が自動解析を行い、自動解析が正常であれば限りなく正常であるという報告もあります。
参考:【循環器一般】心電図の自動解析の精度は? | 医師の循環器疾患・不動産投資まとめサイト (iryoumatome.com)
1、それぞれのパーツごとに細かく数値が決められており、一つ一つを覚えるのは不可能
2、自動解析により診断が容易になってきており、正常洞調律と解析されたものは正常が多い
以上、参考になればうれしいです。
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今日もありがとうございました!